ベイズの定理計算
計算結果
事後確率P(A|E)
- Aが偽である確率P(¬A|E)
- 84.62%
- 証拠の確率P(E)
- 5.85%
- 事前確率から事後確率への変化(パーセントポイント)
- 14.38
ベイズの定理計算は、何かを見る前に抱いていた信念を、それを見た後の信念に更新します。ある状態の事前確率、その状態のときに証拠が現れる尤度、その状態でないときに同じ証拠が現れる尤度の3つを入れると、証拠を踏まえたその状態の事後確率が返ります。あわせて、その裏側の確率、その証拠が母集団全体でどれくらいの割合で起きるのか、そして信念が何ポイント動いたかも表示します。この計算が当て推量に勝るのは、珍しい状態を不完全な検査で見るときです。有病率1%、検出率90%、偽陽性率5%という既定値では、陽性という結果が出てもその状態である確率はおよそ15%までしか上がらず、90%にはなりません。調べようとしているものが珍しいとき、検査が信念を動かす幅は直感よりずっと小さいのです。
公式
P(A | E) = P(E | A) · P(A) / [ P(E | A) · P(A) + P(E | ¬A) · P(¬A) ]
- P(A)
- 状態の事前確率で、パーセントで入力します。証拠が届く前に抱いていた信念のことです。これは人が思うより重く、小さいときはそれを大きく動かすのに多くの証拠が要ります
- P(E | A)
- 状態があるときに証拠が現れる確率です。検査でいえば検出率、つまり感度にあたり、本当にその状態である人のうち検査が拾える割合です
- P(E | ¬A)
- 状態がないときに同じ証拠が現れる確率です。検査でいえば偽陽性率にあたり、これが小さくないときにもっとも被害を出す項です
- P(¬A)
- 状態でない確率で、事前確率を100%から引いたものです。分母は、証拠が現れる2通りの道筋を、それぞれの状態の起こりやすさで重み付けして足し合わせたものです
- P(E)
- 証拠そのものの確率で、状態にかかわらず母集団の中で証拠が現れる割合です。分母にあたり、ここが小さいことが事後確率を大きく動かします。単独でも表示しているのはそのためです
- P(A | E)
- 事後確率で、証拠を見た後の信念です。結果パネルはその裏側の確率も並べて表示します。「検査は陽性なのに、それでも85%の確率でそうではない」という文のほうが数を伝えることが多いからです
検査の結果を、調べているものの実際の珍しさと突き合わせて読まなければならない場面で使います。有病率の低い集団でのスクリーニング検査、単語を読むスパムフィルタ、まれな故障の診断、あるいは陽性という結果をそのまま証拠とみなしてしまうあらゆる場面です。逆向きの問いにも向いています。陽性という結果が意味を持つには検査がどれくらい良ければよいかを求める計算で、ふつうは特定の事前確率に対する事後確率よりずっと役に立つ数になります。事前確率を言葉にできるときに手に取ってください。事前確率に見当がつかないときは、その不確かさが事後確率を支配するというのが正直な答えで、このパネルはそれがどれくらいかをそのまま見せてくれます。
計算例
有病率1%・検出率90%・偽陽性率5%
- 10,000人で考える:その状態の人が約100人、そうでない人が9,900人
- その状態の100人のうち90%が陽性になる:真の陽性はおよそ90人
- そうでない9,900人のうち5%も陽性になる:偽陽性はおよそ495人
- 陽性という結果は90 + 495 = 585人から出る:90 ÷ 585 = 15.38%
この例がこのページの中心で、ステップの算術がその理由です。人数で数えると仕組みが見えます。偽陽性率は、その状態の人の99倍の集団に適用されるので、検出率が拾う人数の5.5倍の陽性を生みます。15.38%という事後確率は検査が悪いという話ではありません。検出率90%は良い検査です。そうではなく、その状態が珍しすぎて誤りのほうが成功より多くなったという話です。裏側の84.62%は同じことを反対から言っていて、14.38ポイントという動きが、この品質の検査1回の実際の値打ちです。
有病率2%・精度99%の検査
- 10,000人で考える:その状態の人が約200人、そうでない人が9,800人
- その状態の200人のうち99%が陽性になる:真の陽性はおよそ198人
- そうでない9,800人のうち1%も陽性になる:偽陽性はおよそ98人
- 陽性は198 + 98 = 296人から出る:198 ÷ 296 = 66.89%
100回に1回しか間違えない検査でも、陽性の3分の1は誤りのまま残ります。適用される集団が49倍大きいからです。同じ10,000人あたり452人の陽性に対して精度を99.9%まで上げると、事後確率は95%を超えます。つまり2つのてこは互いに代わりになりません。検出率は拾える真の陽性の数を決め、偽陽性率はそれがどれだけの雑音に埋もれるかを決めます。ふつうは2つ目を良くするほうがはるかに安くつき、この例はより良い検査に金をかける前にそれを確かめるいちばん安い方法です。
状態に反対する証拠
- 五分五分の事前確率から始める:その状態が50%、そうでないのが50%
- 証拠はその状態でないときのほうが5倍出やすい(90%と5%)
- 分母は0.05 × 0.5 + 0.9 × 0.5 = 0.475で、証拠自体はそれなりに起こりやすい
- 事後確率は0.025 ÷ 0.475 = 5.26%:44.74ポイントの低下
注目すべきは負の動きで、パーセントポイントという単位が存在する理由でもあります。50%から5.26%への低下は44.74ポイントの下落です。「44.74%下がった」ではありません。そう読むと事後確率が約27.6%になったことになってしまいます。動きを相対変化として読むのは、このパネルを誤って引用する定番の形で、符号は証拠がどちら向きだったかを教えてくれます。ここで証拠は珍しくもなく(現れる確率47.5%)、それでも強く情報を与えていることにも注意してください。情報量は2つの尤度の比から来るのであって、証拠が珍しいことから来るのではありません。
適用限界
事後確率は、入力した3つの数と同じだけしか良くなりません。そして人がいちばん作り上げたくなるのが事前確率です。その状態が珍しいとき、事後確率は事前確率と偽陽性率に支配されるので、どちらかを楽観的に置くと自信のある誤った答えが出ます。パネルは、あなたの事前確率が当て推量だったことを教えてくれません。注意点が2つあります。尤度は正確な値として扱われるので、小さな検証研究から引用した検出率は、それが持っていない精度で使われていることになります。もう1つ、この計算は1つの証拠を1回読むためのものです。同じ検査を2回行うことは、2つの独立した検査を行うことと同じではありません。同じ不完全な器具から出た2つ目の結果は1つ目と相関しているので、事後確率を新しい事前確率として戻すと、2回目の検査がどれだけ足したかを過大評価します。どの状態でも証拠が起こり得ないとき、つまり両方の尤度が0%、あるいは偽陽性率0%と事前確率0%の組み合わせでは、分母が0になり事後確率は報告できません。起こり得ないものを条件にするのは、答えのある問いではないからです。
よくある質問
- 精度90%の検査で、その状態である確率が15%しかないのはなぜですか
- その状態の人に対する精度と、そうでない人に対する精度は別の数で、2つ目はるかに大きな集団に掛かるからです。有病率1%なら、その状態でない人はそうである人の99倍いるので、偽陽性率5%は数百人の偽陽性を生み、検出率90%が拾う真の陽性は数十人にとどまります。検査は仕事をしています。その状態が珍しすぎて、誤りの数が当たりの数を上回っただけです。これが基礎率のはたらきで、事前確率が後回しにできない必須の入力である理由です。
- シフト行のパーセントポイントとは何ですか
- 事前確率と事後確率の差を、相対変化ではなくパーセントポイントで測ったものです。50%から5.26%への移動は−44.74パーセントポイントで、「44.74%下がった」ではありません。そう読むと事後確率が約27.6%になったことになります。この区別が効くのは動きが大きいときで、相対で読むと大きく外します。符号は証拠がどちらへ押したかを教えてくれ、負のシフトは証拠がその状態に反対していたことを意味します。
- 事後確率を次の検査の事前確率として使えますか
- 2つ目の証拠が1つ目と本当に独立しているときだけです。同じ検査を2回行った2つの結果は独立ではありません。1回目で偽陽性が出れば2回目も偽陽性になりやすくなります。器具がどちらも同じ欠陥を持っているからです。それでも事後確率を新しい事前確率として戻すと、2回目の結果が足すものを過大評価します。ときに大きく過大評価します。証拠が本当に独立なら、2段階で更新しても、2つを同時に入れて1回で更新しても同じ答えになります。つまり近道が安全なのは、独立性の仮定が成り立つときだけです。
- 証拠の確率の行は何を意味しますか
- その状態であるかどうかにかかわらず、その証拠がそもそもどれくらいの割合で起きるかを表します。定理の分母にあたり、それぞれの尤度をその状態の起こりやすさで重み付けしたものです。これを表示する価値があるのは、動きの大きさを説明してくれるからです。証拠が全体で珍しいときは、事前確率から遠い事後確率になるのが当然で、証拠がよくあるときは動かすのに強い尤度比が要ります。最初の例では証拠は5.85%の人に現れるので、陽性1回で信念がそれだけ動くのです。
- 答えが出ないのはどんなときですか
- どの状態でも証拠が起こり得ないときで、分母が0になり、それを条件にすることは未定義になります。両方の尤度が0%のとき、事前確率0%と偽陽性率0%の組み合わせのとき、事前確率100%と検出率0%の組み合わせのときに起こります。いずれも証拠が起こり得ないので、「証拠が与えられたとき」が空の条件になります。パネルは0%や50%を返さずエラーを報告します。報告すべき確率が存在しないのであって、確率が0なのではありません。
- 計算機は尤度比も出しますか
- いいえ。理由は、オッズ形式が入力範囲の両端で壊れるからです。事象のオッズはその確率を1から引いたもので割ったものなので、事前確率100%は無限大のオッズになります。それを印字すると結果パネルが壊れるだけで、誰の役にも立ちません。シフトの行が同じ仕事を、どの合法な入力でも壊れない形で行います。1つの証拠が信念をどれだけ、どちら向きに動かしたかを示すもので、そもそも尤度比を求めている背景にある問いはたいていこれです。
参考文献
- Bayes' Theorem — 定理そのもの、オッズ形式を含む特殊形、そして確率を信念の度合いと読む主観主義的な解釈 — Stanford Encyclopedia of Philosophy, Stanford University
- 確率の2つの基本規則(Introductory Statistics 2e, §3.3)— 乗法定理と条件付き確率。事後確率がこの2つから組み立てられていること — OpenStax(ライス大学)
- 樹形図とベン図(Introductory Statistics 2e, §3.5)— 同じ事後確率に至る樹形図の道筋で、上の算例で使っている人数を数える算術にあたること — OpenStax(ライス大学)