血中アルコール濃度計算
計算結果
血中アルコール濃度
- 血中アルコール濃度(mg/100 mL)
- 39.7 mg/100 mL
- 摂取した純アルコール量
- 26.0 g
- ゼロになるまでの時間
- 2時間 38分 48秒
血中アルコール濃度(BAC)は、飲んだお酒がどれだけ血液に回っているかを表す数です。このBAC計算では、飲んだ量・体重・経過時間からウィドマーク(Widmark)の式で推定し、体積パーセント、mg/100 mL、摂取した純アルコールのグラム数、そしてゼロになるまでの時間を出します。式は「純アルコール ÷(体重 × 分布係数)」から、肝臓が1時間に処理する分を引くだけのものです。測定器ではありませんし、運転してよいかどうかを教えてくれるものでもありません。日本の酒気帯び運転の数値基準は血液1 mLにつき0.3 mgで、これは呼気1 Lにつき0.15 mgと同じことを言っています。ここで出た数がその線を超えていても、それは「運転してよい」という意味にはなりません。
このページが使う血中濃度の区分
| 区分 | 血中濃度 |
|---|---|
| 酒気帯び運転の基準未満 | 30 mg/100 mL未満 |
| 酒気帯び運転(13点) | 30〜50 mg/100 mL |
| 酒気帯び運転(25点) | 50〜100 mg/100 mL |
| 酒酔い運転(35点) | 100 mg/100 mL以上 |
この表は、日本の道路交通法と同法施行令が決めている線を、濃度の低い順に並べたものです。酒気帯び運転の数値基準は血液1 mLにつき0.3 mg(血液100 mLあたり30 mg)で、この数字は道路交通法第65条ではなく同法施行令第44条の3に書かれています。第65条第1項は「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と定めるだけで、数字を1つも持ちません。その先の区分は同施行令の別表第二にあり、呼気1 Lにつき0.25 mg(血液1 mLにつき0.5 mg、血液100 mLあたり50 mg)未満が13点、以上が25点、酒酔い運転が35点です。25点は無免許運転と同じ重さです。ただしこの表が描いているのは数値の側だけで、酒酔い運転は「その他アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」も含みます。数値は十分条件であって必要条件ではない、という点はページ下部の制限にも書いてあります。
公式
BAC(%) = 純アルコール(g) ÷ (体重(kg) × r × 10) − 0.015 × 時間
- 純アルコール
- 飲んだお酒に含まれる純アルコールの量。容量(mL) × 杯数 × 度数(%) ÷ 100 × 0.789で求めます。0.789はエタノールの密度(g/mL)です (g)
- 体重
- 体重。この項は分母に入るので、体重が2倍なら同じ酒でも濃度は半分になります (kg)
- r
- ウィドマークの分布係数。男性0.68、女性0.55で、どちらも集団の平均値です。個人差は30%を超えます
- 0.015
- 1時間あたりに下がる濃度(%)。肝臓が処理する速さの平均値で、食べ物や肝臓の状態、飲酒の習慣で変わります
ある量のお酒がどれくらいの濃度になるのか、その濃度がゼロに戻るまでどれくらいかかるのかを見たいときに使います。平均的な体を前提にした推定なので、いま自分が基準を超えているかどうかは答えられません。それが分かるのは呼気検査と血液検査だけです。飲む量を変えたら結果がどう動くかを比べる、というのがこの式の本来の使い方です。
計算例
70 kgの男性、5%のビール330 mLを2本、最初の1杯から1時間後
- 純アルコール:330 mL × 2 × 5% × 0.789 = 26.037 g
- 体重とrで割る:26.037 ÷ (70 × 0.68 × 10) = 0.0547%
- 1時間分の処理を引く:0.0547 − 0.015 = 0.0397%
- もう一方の単位に直す:0.0397% = 39.7 mg/100 mL
- ゼロまでの時間:0.0397 ÷ 0.015 = 2.65時間(約2時間39分)
330 mLの缶2本で、70 kgの男性はこの値になります。日本の酒気帯び運転の数値基準は血液100 mLあたり30 mgなので、この時点ですでに超えています。基準は「どれだけ飲んだか」ではなく「血液にどれだけ残っているか」で決まるので、同じ酒でも体重・性別・経過時間で結論が変わります。
同じ酒を飲んだ70 kgの女性
- 純アルコールは同じ:26.037 g
- 体重と女性のrで割る:26.037 ÷ (70 × 0.55 × 10) = 0.0676%
- 1時間分の処理を引く:0.0676 − 0.015 = 0.0526%
- もう一方の単位に直す:0.0526% = 52.6 mg/100 mL
- ゼロまでの時間:0.0526 ÷ 0.015 = 3.51時間(約3時間30分)
変わったのは分布係数だけなのに、値は4分の1ほど高くなります。rは集団の平均値なので、個人はその両側にかなり離れて位置します。日本の点数でいうと、52.6 mg/100 mLは酒気帯び運転の25点側に入る濃度です。
60 kgの女性、40%のスピリッツ45 mLを3杯、2時間後
- 純アルコール:45 mL × 3 × 40% × 0.789 = 42.606 g
- 体重とrで割る:42.606 ÷ (60 × 0.55 × 10) = 0.1291%
- 2時間分の処理を引く:0.1291 − 0.030 = 0.0991%
- もう一方の単位に直す:0.0991% = 99.1 mg/100 mL
- ゼロまでの時間:0.0991 ÷ 0.015 = 6.6時間(次の日の昼をまたぎます)
99.1 mg/100 mLは、酒酔い運転の数値基準である血液1 mLにつき1.0 mgにはわずかに届いていません。ただし酒酔い運転は数値だけで決まるものではありません。スピリッツ3杯分が抜けるには6時間半かかり、睡眠はその時間を短くしません。
適用限界
これは検査ではありませんし、運転してよいかどうかを教えてくれるものでもありません。実際の値を決めるのは、このページに見えない3つの事柄です。第一に吸収で、飲み終わってから1時間ほどは濃度がまだ上がり続けますが、式は最初から全部が入っていたものとして計算します。第二に分布係数rで、個人の間で30%以上違います。第三に実際の処理速度で、食べ物、肝臓の状態、飲酒の習慣が変えます。実際の濃度を測れるのは呼気検査と血液検査だけです。法律の側にも、この表が表せないことがあります。酒酔い運転の定義は「血液1 mLにつき1.0 mg以上」だけでなく、「その他アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」も同じ条項に含まれます。つまり数値は十分条件であって必要条件ではなく、1.0 mg/mLに届かない濃度でも酒酔い運転として扱われることがあります。このページの表が描いているのは、その2つのうち数値の側だけです。
よくある質問
- これで運転してよいか判断できますか
- いいえ、できません。このページの式は平均的な体を前提にしていて、あなたの実際の濃度は出せません。吸収の速さ、体の水分の割合、肝臓が処理する速さのどれもが値を動かすので、ここが70 mg/100 mLと出した人の実際の値が90 mg/100 mLということは起こります。飲んだのであれば運転しないでください。
- 酔いがさめるまでどれくらいかかりますか
- 濃度が毎時0.015%(血液100 mLあたり15 mg)ずつ下がると数えると、血液100 mLあたり30 mgなら約2時間、100 mgなら約6時間40分です。コーヒー、冷水、食事、睡眠のどれも濃度そのものは下げません。変わるのは酔いの感じ方だけです。
- 男性と女性で値が違うのはなぜですか
- 分布係数rが体の中の水分の割合を表しているからです。アルコールは脂肪ではなく水に溶けるので、平均的には男性0.68、女性0.55となり、同じ体重で同じ酒を飲むと女性のほうが高い濃度になります。体組成は同じ性別の中でもrを動かします。
- 基準は国によって違いますか
- 違います。このページが使うのは日本の数値基準で、血液1 mLにつき0.3 mgを超えると酒気帯び運転、1.0 mg以上が酒酔い運転の数値基準です。日本はこの線を多くの国より低いところに引いています。数値の水準は国ごとに違い、同じ飲み方が別の結論になることもあるので、運転する国の値を確認してください。
- 飲む前に食べると数値は変わりますか
- 曲線が変わるだけで、総量は変わりません。食べ物は吸収を遅らせるので、ピークは低く、遅く来ます。このページの式は最初から全部が吸収されたものとして計算するので、満腹のときは最初の1〜2時間を高めに出します。最終的に処理しなければならないアルコールの量は減りません。
参考文献
- 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第65条・第117条の2・第117条の2の2 — e-Gov法令検索(デジタル庁)— 酒気帯び運転の禁止と、酒酔い運転・酒気帯び運転の法定刑
- 道路交通法施行令(昭和三十五年政令第二百七十号)第44条の3・別表第二 — e-Gov法令検索(デジタル庁)— 血液1 mLにつき0.3 mg・呼気1 Lにつき0.15 mgという数値と、13点・25点・35点の点数
- Evidence-based survey of the elimination rates of ethanol from blood with applications in forensic casework — Jones AW — Forensic Science International, 2010
- Potential health impacts of changing the alcohol free descriptor: evidence review — Office for Health Improvement and Disparities, UK — ウィドマークの式とr値を載せた付録