力率計算
計算結果
力率
- 皮相電力
- 9,200.0 VA
- 無効電力
- 4,543.1 var
- 位相角
- 29.59 °
力率計算ツールです。負荷が消費する有効電力、電源電圧、実際に引いている電流の3つを入れると、力率と、ボルトアンペア単位の皮相電力、var単位の無効電力、度単位の位相角を返します。力率は有効電力を皮相電力で割った値で、0から1の間に収まります。1なら電流と電圧が同じタイミングで増減し、すべてのアンペアが仕事をしています。1より小さいと、電流の一部はエネルギーを往復させているだけになります。230 Vの電源から40 Aを引くモーターが、35 Aぶんの仕事しかしていないことがあるのはそのためです。
同じ8 kWが7通りの力率でどうなるか
| 力率 | 位相角(°) | 皮相電力(kVA) | 無効電力(kvar) |
|---|---|---|---|
| 1 | 0 | 8 | 0 |
| 0.95 | 18.19 | 8.421 | 2.629 |
| 0.9 | 25.84 | 8.889 | 3.875 |
| 0.85 | 31.79 | 9.412 | 4.958 |
| 0.8 | 36.87 | 10 | 6 |
| 0.7 | 45.57 | 11.429 | 8.162 |
| 0.5 | 60 | 16 | 13.856 |
どの行も有効電力を8 kWに固定し、変えているのは力率だけです。ですから右側の2列は、同じ仕事を届けるために電源とケーブルが運ばなければならない量になります。力率1では皮相電力はちょうど8 kVAで、何も往復していません。力率0.5では16 kVAになり、同じ8 kWに対して電流は2倍、13.856 kvarが行き来しています。2列目は1列目を角として読み直しただけの同じ情報で、1・0.8・0.5の3行は覚えておく価値があります。0°、36.87°、60°です。
公式
PF = P / S、S = V × I、Q = √(S² − P²)
- P
- 有効電力。実際に仕事をして電力量計に記録される電力で、ワットまたはキロワットで表します。電力の三角形では底辺にあたり、銘板に書かれているのはたいていこの量です。だからこそ残り2つは別に測らなければなりません。電熱器のような純抵抗負荷では皮相電力のすべてが有効電力で、力率は1になります。
- S
- 皮相電力。ここでは電源電圧に負荷が引く電流を掛けて求める量で、単位はボルトアンペアです。そのうちどれだけが仕事をするかに関係なく、ケーブル・開閉器・電源の容量を決めるのはこの量です。単位がワットではなくボルトアンペアなのは、交流回路では電圧と電流が同相でないかぎり、実効電圧と実効電流の積がエネルギーの消費割合にはならないからです。
- Q
- 無効電力。皮相電力のうち有効電力でない部分で、単位はvarです。失われたエネルギーではありません。モーターの磁界やコンデンサの電界に流れ込み、半周期ごとに戻ってくるエネルギーです。仕事はしませんが、それを運ぶ電流はケーブルを発熱させます。だから電力量計ではなく力率を通して間接的に請求されることになります。
- PF
- 力率そのもの。有効電力を皮相電力で割った値で、ふつうの負荷では0から1の間の数になります。有効電力が、それを生んだ皮相電力を超えることはないので、1を上回ることはありません。0.95を超えるとよい負荷とされ、0.85を下回ると電力会社が関心を持ち始めます。容量性負荷では力率が進み、誘導性負荷では遅れになりますが、このページが出すのは大きさだけです。
- φ
- 位相角。電流が電圧に対してどれだけ遅れているか、または進んでいるかを度で表したものです。力率と同じ情報を、比ではなく角として表したものにすぎません。力率はこの角の余弦なので、力率0.87は約29.6度の角になります。ベクトル和を追うなら角のほうが使いやすく、位相がずれた回路で電流を足すときは、数を足すのではなくベクトルを足すことになります。
機器が引く電流が銘板の値より大きいと言われたときに使ってください。それはほとんど力率の問題であって、故障ではありません。230 Vで8 kWのモーターは、力率が1なら34.8 Aを引きますが、力率0.87では40 Aを引き、余分な5.2 Aは仕事をしていません。モーター、コンプレッサー、溶接機、巻線のあるもののケーブルや遮断器を選ぶ前に使ってください。それらは電流で選ぶもので、電流はワット数から想像するより大きくなります。電熱器には使わないでください。力率が1なので、電力の計算ツールで足ります。
計算例
既定値:230 Vの電源から40 Aを引く8 kW
- 与えられている値:有効電力 = 8,000 W、電源電圧 = 230 V、電流 = 40 A
- 皮相電力 = 230 × 40 = 9,200 VA
- 力率 = 8,000 ÷ 9,200 = 0.87
- 無効電力 = √(9,200² − 8,000²) = 4,543.1 var、位相角は余弦が0.87になる角なので29.59°
力率より先に電流を見てください。この負荷は8 kWを消費しながら40 Aを引いています。純抵抗なら8,000 ÷ 230 = 34.8 Aで済むところです。その差の5.2 Aが、力率0.87の実際の代償です。電力量計からモーターまでの経路にあるものは、ケーブルも含めて、34.8 Aではなく40 Aに耐える定格でなければなりません。電力会社が気にする理由も、ケーブルが皮相電力で選ばれる理由もここにあります。4つの行は互いに検算できます。8,000² + 4,543.1² = 9,200²です(丸めの範囲で一致します)。
抵抗負荷:力率はちょうど1
- 与えられている値:有効電力 = 2,000 W、電源電圧 = 200 V、電流 = 10 A
- 皮相電力 = 200 × 10 = 2,000 VAで、有効電力とぴったり一致する
- 力率 = 2,000 ÷ 2,000 = 1
- 無効電力 = √(2,000² − 2,000²) = 0 var、位相角 = 0°
電気ケトル、投げ込みヒーター、白熱電球がこれにあたります。電流と電圧がそろっていて、すべてのアンペアが仕事をし、往復しているものは何もありません。この目盛りの上限で、一度は見ておく価値があります。1は大きな数のうちのよい点なのではなく、皮相電力と有効電力が同じ量になる点であり、電力の三角形が1本の線につぶれる点だからです。実際の設備でここに届くのは純抵抗だけで、銘板に1.0と書いてあるモーターは、測定値ではなく理想を書いています。
軽負荷のモーター:50 Aを引きながら8 kW
- 与えられている値:有効電力 = 8,000 W、電源電圧 = 230 V、電流 = 50 A
- 皮相電力 = 230 × 50 = 11,500 VA
- 力率 = 8,000 ÷ 11,500 = 0.696
- 無効電力 = √(11,500² − 8,000²) = 8,261.4 var、位相角 = 45.92°
定格よりずっと軽い負荷でモーターが回っているときの姿で、実際の建物で思ったより低い力率が出るいちばん多い原因です。モーターは磁界を保つために励磁電流を必要とし続け、その電流は機械的な負荷が減っても小さくなりません。だから有効電力が下がると、力率も一緒に下がります。多くの場合、直し方は電気的なものではありません。モーターをもう少し定格に近い負荷で使うか、銘板ではなく実際に測った負荷に合わせた力率改善用コンデンサを取り付けます。
力率改善後の設備:36 Aを引きながら8 kW
- 与えられている値:有効電力 = 8,000 W、電源電圧 = 230 V、電流 = 36 A
- 皮相電力 = 230 × 36 = 8,280 VA
- 力率 = 8,000 ÷ 8,280 = 0.966
- 無効電力は2,135 varに下がり、位相角は14.94°になる
同じ8 kWの仕事ですが、電流は40 Aから36 Aに下がっています。モーターそのものは何も変わっていません。無効電力が、電源から運ばれてくる代わりに、コンデンサによってその場で供給されるようになっただけです。これが力率改善のすべてで、見るべき数は力率ではなく電流のほうです。皮相電力が10%下がったので、ケーブルも変圧器もその損失も、ただで10%小さくなります。電力会社が工業需要家に請求しているのはまさにこの差で、だから力率改善は元が取れます。
適用限界
単相の計算です。平衡三相負荷の皮相電力には√3が必要で、このページでは扱っていません。入力する電流と電圧は、同じ点で同時に測った実効値でなければなりません。別の瞬間に読んだ2つの数の比には意味がないからです。このページが出すのは力率の大きさだけで、符号は出しません。容量性の進み力率と誘導性の遅れ力率は同じに見えますが、補正には正反対の操作が要ります。
よくある質問
- 電流が銘板の値より大きいのはなぜですか
- 銘板に書かれているのはワット単位の有効電力で、電流を決めるのはボルトアンペア単位の皮相電力だからです。230 Vの電源につないだ8 kWのモーターは、力率が1なら34.8 Aを引きますが、0.87では40 Aを引きます。余分な電流は仕事をしておらず、電源とモーターの磁界の間を回っているだけですが、ケーブルはそれを運ばなければならず、遮断器もそれに耐えなければなりません。つまり負荷の電流は、ワット数を電圧で割った値以上になり、コイルのある機器でははっきり大きくなります。
- 力率が低いと電力を無駄にしているのですか
- 聞こえるほど無駄にはしていません。無効電力は消費されません。エネルギーはモーターの磁界に流れ込み、半周期ごとに戻ってきます。有効電力を数える電力量計は、それに対して請求しません。ただし電流はかかります。電流は二重に費用を生みます。設備に必要なケーブル・変圧器・開閉器が大きくなることと、多くの国では工業用料金に力率のペナルティが上乗せされることです。補正する価値はありますが、節約になるのは設備の容量とペナルティであって、エネルギーそのものではありません。
- 力率はどのくらいあればよいのですか
- 0.95を超えていれば一般によいとされ、0.9前後が、典型的な工業用料金のもとで多くの電力会社が文句を言わずに受け入れる下限です。0.85を下回るとペナルティが始まりますが、その正確な閾値も請求額も、物理ではなく契約で決まります。家庭用の電力量計はそもそも力率を評価していないので、工場では問題になる値が家庭では何の意味も持ちません。請求されている心当たりがあるなら、目安ではなく料金約款を読んでください。
- 電力の三角形とは何ですか
- 有効電力・無効電力・皮相電力を3辺とし、皮相電力を斜辺とする直角三角形です。仕事をする辺と往復する辺は直角に交わっているので、数としてではなくベクトルとして足し合わされます。有効電力8,000 Wと無効電力4,543 varを足すと、12,543 VAではなく9,200 VAの皮相電力になります。底の角が位相角で、その余弦が力率です。このページの関係は、すべてこの三角形についての記述です。
- 低い力率はどうやって改善しますか
- 無効電力を負荷の近くで作ってやります。実際には、負荷のそばにコンデンサを並べることになります。静電容量を足すと進み電流が流れ、モーターのインダクタンスが引く遅れ電流を打ち消すので、電源は有効な分だけを送ればよくなります。このページの計算例がその形です。同じ8 kWが40 Aを引いていたのが、無効電力をその場で作ると36 Aになります。力率改善は、銘板ではなく実際に測った負荷に合わせて選ぶ必要があり、1.0を超えて補正しすぎるのも問題です。
- 三相の電源でも使えますか
- そのままでは使えません。これがこのページの主な限界です。平衡三相回路では皮相電力が線間電圧 × 線電流 × √3になるので、ここで単相の積を使うと約73%小さく出ます。力率そのもの、つまり有効電力を皮相電力で割った値は同じ比で、どちらも三相の量なら正しく出ます。相の選択を用意していないのは、それがほかのすべての数の意味を黙って変えてしまうからです。
- 力率が1を超えることはありますか
- ありません。このページもそれを出しません。力率は有効電力を皮相電力で割った値で、皮相電力は実効電圧と実効電流の積です。その2つが生み出せる有効電力は、それを超えられません。入力した有効電力が電圧 × 電流を上回るなら、3つの数が互いに矛盾しています。電圧を負荷以外の場所で測ったか、電流が実効値ではなく突入電流やピークの値であることがほとんどです。このページは1.2を返す代わりに、その矛盾を報告します。
参考文献
- IEEE Standard 1459-2010, Definitions for the Measurement of Electric Power Quantities Under Sinusoidal, Nonsinusoidal, Balanced, or Unbalanced Conditions — ここで使う有効電力・無効電力・皮相電力の標準的な定義 — IEEE
- Power factor — 位相角の余弦としての定義、遅れと進みの区別、そして電力会社が低い値を割増しの対象にする理由 — Wikipedia
- OpenStax College Physics 2e, §20.5 Alternating current versus direct current — 実効電圧と実効電流、そしてその積がエネルギー消費率にならない理由 — OpenStax